「今年は蝉が少ないな」
夏の初めから、なんとなくそう感じていました。
ところが8月も終わりに近づいた今、窓を開けていると、ミンミンゼミとツクツクボウシの声が重なって聞こえてきます。
ここ茅ヶ崎では、真夏の厳しい暑さが少し和らいだ一日。
「あれ、蝉、こんなにいたんだ」
思わず、そんなことを考えました。
8月末に蝉の声が増えるのは不思議ではない
ツクツクボウシはいつまで鳴く?
ツクツクボウシは、夏の後半から秋口にかけて存在感を増す蝉です。7月下旬ごろから見られ始め、8月下旬から9月上旬ごろには特に鳴き声が目立ちます。
「ツクツクボウシが鳴くと、夏休みも終わり」
そんな印象を持つ人がいるのも、この時期によく聞こえるからでしょう。
ミンミンゼミはいつまで見られる?
ミンミンゼミも真夏だけの蝉ではなく、地域によっては9月ごろまで声を聞くことがあります。
ですから、8月末にミンミンゼミとツクツクボウシが一緒に鳴いていても、不思議なことではありません。
「今年は蝉が少ない」は本当だった?
少し調べてみると、蝉が現れる時期は毎年同じではないこともわかりました。
ウェザーニュースが2015年から続けている全国調査では、同じ7月10日前後でも、すでに「大合唱」になっている年もあれば、「まだ鳴いていない」という回答が多い年もあり、年によって違いが見られています。
また、国立環境研究所などがアブラゼミの初鳴きを調べた研究では、日射量、湿度、降水量、風速などと比べても、気温の影響が大きいことが示されています。
今年2026年7月の日本の平均気温は、平年より1.66℃高く、1898年の統計開始以降、7月として4番目の高温でした。
ただ、これだけで「今年は蝉が少なかった」と判断することはできません。蝉の数と、私たちが「よく聞こえた」「今年は静かだ」と感じることは、同じではないからです。
そう考えているうちに、私は自分自身のことにも思い当たりました。
変わったのは、蝉ではなく私だったのかもしれない
昨年までの私は、夏の暑さにかなり参っていました。
強い日差しと湿度に体力を奪われ、そこへ蝉の大合唱が重なる。暑さと蝉の声、その両方から攻められているように感じて、レッスンの合間にぐったりしてしまうこともありました。
ところが今年は、そこまで蝉の声が気にならなかったのです。
だからいつの間にか、
「今年は蝉が少ないのかもしれない」
と思っていました。
でも、本当に少なかったのでしょうか。
それとも、少なかったのは蝉ではなく、私の「気になる度合い」の方だったのでしょうか。
今年は暑さへの向き合い方や日々の過ごし方が少し変わり、同じ音を以前ほど「しんどいもの」として受け取らなくなっていたのかもしれません。
暑さに体を慣らす「暑熱順化」については、こちらの記事でも詳しく書いています。
変わったのは蝉ではなく、
私が世界をどう受け取るか、そのフィルターの方だったのかもしれません。
ヨガで大切にしている「決めつけを手放す」こと
これは、ヨガのレッスンで大切にしていることにもよく似ています。
私が普段お伝えしているのは、ポーズの上手さではなく、呼吸と今の体に意識を戻していくヨガです。
「私は体が硬い」
「このポーズはできない」
「今日は調子が悪い」
私たちは知らないうちに、過去の経験から「自分はこうだ」と決めています。けれど、昨日できなかったからといって、今日もできないとは限りません。
マットの上では、
「今日はどうだろう」
と、その日の呼吸や体を見ていきます。
すると、思っていたより体が軽かったり、苦手だった動きが心地よかったりすることがあります。感覚を否定する必要はありません。
ただ、
「今、私はそう感じている」
ということと、
「実際にそうである」
ということは、必ずしも同じではありません。
一度そのまま受け止めて、すぐに決めつけない。その一呼吸があるだけで、見えてくるものが変わることがあります。
夏の終わりに
「今年は蝉が少ない」と思っていた私も、夏の終わりになって、あらためて耳を澄ませました。
すると窓の外では、ミンミンゼミとツクツクボウシが賑やかに鳴いています。真夏の蝉時雨とは少し違う、夏の終わりの二重奏です。
「きっとこうだろう」と決めてしまう前に、今をもう一度見てみる。
今、何が聞こえているのか。
今、体はどう感じているのか。
季節は少しずつ秋へ向かっています。
もうしばらく聞こえてくる蝉の声にも耳を澄ませながら、その日その日の変化を味わっていきたいと思います。


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